外食業界での人集めの工夫のあれこれ

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2月4日に放送されたガイアの夜明けは「人が足りない…”外食”驚きの一手!」。景気が上向き始めた結果、以前にも増して人集めに苦戦している外食業界。他業種との競合が激しさを増し、時給アップに加え、他にも様々な条件を付けないと人が集まらない状況です。どう人を確保し、辞めさせないか。さらに少ない人数でも利益が出せる店をどう作るか。生き残りをかけた取り組みが始まっています。

1970年に創業した高級ステーキ店「ステーキくに」。100グラム6,500円の神戸牛など、様々なブランド牛を客の目の前で好みの大きさや厚さにカットし、焼いてから提供する本格的なステーキ店です。現在、都内を中心に9店舗を展開し、今後も積極的に店舗を増やそうと考えています。しかし今、これまで以上にアルバイトが集まらなくなっているといいます。単に時給1,000円を超える条件で募集しても反応は鈍いままです。

肉のオーダーカットなど店の売りであるサービスはどれも人手のかかるものばかり。このままでは新しい店舗展開は夢の夢です。そこで経営トップが新たに考案したのが、少ない人手でもオペレーション可能な、立ち食いステーキ店です。

これまでより狭い店舗で、スタッフが効率的に動けるようなシステムを作って、従来の半分の人数で運営できるようにする。さらに立ち食いで客の回転を良くすることで、高級肉のステーキをより安く提供できるようになるという狙いです。東京・銀座でスタートした新業態の名は「いきなり!ステーキ」。実際、「高級ステーキ店が立ち食い店で同じ肉を出す」という評判を知って、大勢の客が押し寄せていました。

2番手は全国500店舗以上の「長崎ちゃんぽん」を展開する「リンガーハット」。外食の大手と言えど、アルバイトの確保には悩みが尽きません。そこでリンガーハットも効率のいい新たな店づくりに取り組んでいます。それは客が実際に料理を持って店内を移動するセルフ式。しかも、客がレジに並んでいる間に色々なトッピングを選べる「マイちゃんぽん」式です。

実験店舗で試してみた結果は好評。さらなる一手が、人手をかけずに効率的に調理が出来る機械の導入です。実はリンガーハットは調理器具を開発・製造する自社工場を持っています。佐賀にある工場を訪ねると、そこでは「より早く麺をゆでる機械」と「具をより効率的に調理できる機械」の開発が進んでいた…。これが完成すれば、スタッフ一人でこれまでの半分の時間でちゃんぽんを提供できるようになるというのです。これはなかなか期待させますね。

居酒屋チェーンの人材確保作戦外食産業の中でも、より人集めに苦戦しているのが居酒屋業界。アルバイトの主力は学生たちですが、定着率は低いのです。そこで各社とも、新規採用に加えて、今いる人材をいかに辞めさせないかに苦心しています。

大手のモンテローザは、2週間辞めなかったバイトには一時金を支給。さらにお金に困っているバイトには、給料を支給日の前に受け取ることも出来るようにする。等々、あの手この手で引き留めを図ります。

同じ居酒屋業界で、「塚田農場」などを展開するのは大手のエー・ピーカンパニー。就職活動を機に辞める学生バイトが多いため、無料で就職活動セミナーを開催するなど、就活とバイトを両立してもらえる取り組みを始めました。それだけではありません。会社側が一般企業に対し、アルバイトの学生たちを採用試験で優遇してもらえるよう働きかける、という試みまで始めました。これは就職活動を強力に支援してくれるかも知れませんね。