城北信用金庫の地元密着の取り組みに感心する

ビジネスモデル

住みたい街ランキングで急上昇(最近の評価では4位らしい)の街、赤羽が注目されている。昔だったら吉祥寺や下北沢だったのが、今や目黒、池袋、武蔵小杉、赤羽だという。都心への交通アクセスのよさと街の賑わい、(それに反しての)家賃の安さが魅力なのだろう。

その街の賑わいに貢献しているのが地元商店街を活性化支援する地元の信用金庫で、赤羽の場合には城北信用金庫だ。その活動を採り上げたのが、8/3に放映されたカンブリア宮殿「庶民と中小企業の強い味方!下町信用金庫の街ごと活性化術」だ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2017/0803/

東京北区・荒川区にある企業の約9割と取引しており、赤羽に本店・本社があるお店・中小企業の8割と取引があるというから凄い(地方だったらあり得るが、こんな都心でこの集中度は驚異的だ)。その支援・融資により伸びている企業事例も幾つか、そして地元の祭りへの支援振りやアスリーツ採用などユニークなやり方も紹介されていた。

とりわけ面白いと思ったのが、城北信用金庫が力を入れる“非金融サービス”だ。「NACORD(ナコード)」という(企業と消費者を結ぶ)紹介サイトを立ち上げ、城北信金のトップページからアクセスできるようにしており、企業の商品やサービスの魅力を伝えている。
http://www.nacord.com/

凄いのは、そのNACORDのページ制作(ライター、カメラマン含む)は、城北信金の職員(美大出身者など専門家の正社員)が行っていることだ(他の信金・地銀の場合、業者紹介までだ)。ホームページのクオリティは高い。しかも掲載料無料。NACORDに商品を掲載することで、中小企業の業績が上がれば、将来的に金融サービスにも繋がると考えてのこと。

さらに、金融機関としては全国初となるクラウドファンディングも、「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングと組んで、立ち上げた。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/053000045/040500010/

NACORDに掲載される一部の内容は同時に「Makuake」にも掲載される。これにより地元民だけでなく、広く全国から投資家および商品に対する先行予約を集めることができる。その商品・サービスへの需要目利きをクラウドファンディングが行うことができるのだ。
https://www.makuake.com/

こうしたクラウドファンディングの活用、地元企業の商品・サービス紹介は、弊社も関東のある都市に根差す信用金庫に提案したことが昔あるが、経営企画部門が時期尚早として流れてしまったことがある。やはり先駆的な信金では取り組んでいたのだ。城北信用金庫の理事長、大前孝太郎(おおまえ こうたろう)氏の先見性とリーダーシップ、そして実現の馬力に敬意を表したい。