国産スギ材、有効活用の道

ビジネスモデル

4月14日の「夢の扉+」の放送は、「常識を覆すスギの巨大建造物!新技術開発で驚異の強度を実現!“日本の宝”国産スギ材を有効活用し、日本の林業を救え!」というタイトルで、宮崎県木材利用技術センター所長、飯村豊さんを採り上げていた。

戦後の造林政策で盛んに植えられたスギ(それが花粉症という社会問題を引き起こしていることも周知の通り)。しかし近年、安価な輸入材に押しやられ需要は減る一方。それで放置されたスギ林が全国の山を荒廃させている。

「スギはやわらかいから大型建造物には向かない」。そんな業界の常識を覆し、国産のスギ材を使って直径120メートルの巨大ドームを完成させた男たちがいる。それが宮崎県木材利用技術センターの、飯村所長率いる研究者たちだ。

かつて商社に勤め、輸入木材の拡販をしていた飯村さんだが、ニッポンの林業の惨状を目の当たりにし、「何より、日本の林業を立て直すことが必要だ」と、国産材普及のため立ち上がった。『スギは“日本の宝”。スギ材を活用して、日本をもっと元気にしたい!』『弱みを強みに変えていく。それが私の使命です』と。いわば一種の罪滅ぼしの気持ちだろう。

“やわらかくて折れやすい”というスギの弱点は、発想を変えれば、“しなやかで粘り強く、変形が容易”という強みにもなり得る。飯村さんたちは、徹底的な分析と、スギの特性を生かした新たな技術開発で、驚きの強度と耐久性を証明し、数々の木造巨大建造物を生み出した。それが先の、読売巨人軍がキャンプに使用している球場の巨大ドームである。

その次のターゲットは何とガードレール。鉄製が主流のガードレールをスギ材で作る…。衝突の衝撃を吸収してくれるスギは、確かにガードレールに向いているのかも知れない。しかし柔らかいスギは、果たして国が定める安全基準に適合するのか?彼らの挑戦を応援したい。

以前、本ブログでも無花粉スギの開発者の話を取り上げたが、全国で放置されている従来スギを早く伐採して無花粉スギに植え替えてもらうには、その用途開発が欠かせない。飯村さんらの努力は、林業だけでなく花粉症をなくすためにも重要なのだ。