名門日本企業のグローバル戦略

グローバル

私の友人にスマート〇〇の世界的メーカー(仮にG社とします)のCEOがいる。確かスペイン辺りの出身だ。

彼がCEOに出世したタイミングとほぼ同時期に某名門日本企業(仮にT社とします)から買収のオファーがあり、上場廃止と併せて同意している。何せハイテク分野なので競合を引き離すための投資が将来的にかさむことが見込まれ、経営にとやかく言わずに後ろ盾となってくれる日系超大企業ということで歓迎だったのだろう。

しかし今やその名門企業T社は自らの台所事情が火の車となり、片っ端から傘下の事業を売り払う姿勢を隠さない。G社も例外ではなく、口さがない国際的金融情報会社では売却金額予想まで報道している。日本のアナリストなどは「G社の製品は日本市場で使えないから不要なのだろう」と言っているようだが、ピントがズレている。

グローバル市場を相手にする「スマート〇〇」とか称される分野の企業にとってM&Aは日常茶飯事であり、親会社が毎年入れ替わることも稀ではない。だから友人にとって今回の騒ぎは戸惑いではあっても驚きではないだろう。

でも小生が首をひねるのはT社の態度だ。「重点分野」だと公言しておきながら、そして実際に自らの事業とのシナジー効果の膨大なポテンシャルを持っているのに、それを活かすべくG社が持つ世界販売網を活用する動きは過去数年の間ほとんど見えてこなかったし、今この売却話を否定していない。

一体、この名門企業のグローバル戦略はどうなっているのだろう。