光触媒の製品化が大きな一歩を踏み出した

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6月23日の夢の扉+は「ウイルス・細菌・カビを撃退!除菌率99.9%の“光の技術”」と題して、光触媒タイルの開発に成功した、北九州市の製鉄加工業・フジコー、山本厚生社長とその技術者たちを採り上げた。

太陽や蛍光灯などの光を当てるだけで、細菌や消臭を可能にする技術・光触媒。使われる材料は酸化チタン。この酸化チタンに光が当たると、空気中の酸素や水分と反応、活性酸素が生まれる。これが、細菌やウイルスなどを攻撃・分解する。素晴らしいことに、この効果は光があるだけで半永久的に持続する。小生は某プロジェクトが縁で、この日本発の夢の技術に注目してきた。

難題は、いかにタイルの表面を覆うかであった。酸化チタンを塗装するだけでは剥がれやすく、光触媒の構成比率が低く(5割ぐらい)、効果が十分でないのだ。山本社長たちは、接着剤を使わずに貼り付けようと、「溶射技術」で密着させることに成功したのである。

その技術開発の過程は大変だったようだ。溶射の熱で光触媒が溶けてしまうため、失敗が続き、研究費用だけがかさむ。会社は赤字になってしまい、役員たちから「研究をやめるべき」との批判が浴びせられた。しかし「10年かかる研究だから他が真似できないモノが生まれる」「新しい技術を生み続けることが、社員を守ることにつながる」との信念の下、山本社長は開発を続けさせた。彼には700人の社員をリストラした過去がある。

モノレール 平和通駅は、トイレの強烈な臭いという悩みを抱えていたが、この特殊なタイルを設置した途端、臭いがピタリとなくなったという。番組スタッフが周期測定器でチェックしてみると、公衆トイレの中と外の数値に変わりはない。

今や、院内感染を防ぐ対策の一つとして、山本氏たちの技術が、病院内に取り入れられることになった。宮崎大学病院?では、鳥インフルエンザや口蹄疫の予防に向け、施設の壁や床で実験的に使用されている。医師は「床材・壁材を張り替えることによって療養環境の感染対策が進んで、より安全に患者さんたちの入院生活が続けられるのではないかと期待している」と語った。

小倉倒津病院では、床に敷くタイルではなく、どこにでも移動可能な空気清浄機タイプの光触媒製品を設置。部屋中にばらまかれた細菌をどのレベルまで取り除くことができるのかの実験では、30分程度で対象の菌の99パーセント以上が除去できていた。これは期待できそうだ。是非、全国そして世界でこの日本発の技術が院内感染を防ぎ、そして食中毒や臭いを防ぐようになって欲しい。