個別化する?GMSの新店舗づくり

ビジネスモデル

小生の近所のアピタが昨年11月に閉店した。選択肢が一つ減った結果、それまであまり行かなかったコンビニスーパー「マイバスケット」というイオン系の店に時々行くようになった。全体としての品揃えはしょぼいが、コンビニよりは食品類が多く、買い足し的なものは代替できている(よく考えると、元々アピタをそれほど利用していたわけではないのだ)。

これはまだましな例で、全国では「買い物難民」が増えつつある。一時は地元の商店街を駆逐した大手スーパーが不採算店を軒並み閉鎖させているからだ。1月14日に放送されたガイアの夜明けではそうした大手量販店の店舗リストラの様子を伝えていた。

最初に映されたのは兵庫県の西友高砂店の閉鎖。1976年に開業し、人口約9万人の地元に根付いて40年。生鮮食品はともかく日用品や電気製品の売れ行きが悪く、総合スーパーとしては立ち行かないと判断されたのだ。地元の戸惑いの声が響いていたが、人口減と高齢化、GMSでのダサい衣料品の組み合わせでは生き残りは難しかろう。

続いては、2015年度の中期決算で99億円の赤字を出した結果、大きな戦略変更を決めたイオン。地域の特色に合わせてそれぞれ異なる店舗を作ることにしたのだ。

東京大田区にあるイオン御嶽山駅前店が特にフィーチャされていた。ここはリニューアルオープンしたばかり。ここ数年でマンションやアパートが増えたことによる客層の変化に合わせて、ターゲットを35歳から45歳の主婦・単身者へと大きく変えた。

会社帰りの客からの要望が多かったことから、惣菜の数を倍増。また、オーガニックや健康食品など、働く女性を意識した商品の充実を図る一方で、テラス席を設けて親子が一緒にくつろぐスペースを設けた。

そして最大の目玉が、ワインを飲みながら食事を楽しむことができる本格的なバル。駅前という立地を生かして会社帰りに寄ってもらおうと考えたのだ。バルで販売されているワインなどのお酒は、約2500種類を取り揃えた別の酒類売り場で販売されている。バルで飲んで気に入ったら購入して自宅でゆっくりと堪能してもらおうという狙いだ。

御嶽山駅周辺の客層がどんなものなのか知らないが、同じ東急沿線とはいえ池上線沿いなので、交通の便は悪く、比較的小さな商圏なのだろうと推測される。ただ大田区ではあるので、周辺住民の所得水準は低くはないのだろう。

放送で観る限り、このイオンの店舗はなかなか洒落た雰囲気になっており、従来のGMSとは一線を画す感じだ。これで成功すれば、イオンはきっと、山手線内と東急沿線の店はこんな風なプチ高級店舗に変えていくのだろう。小生は大資本の店は個人的には好きではないが、今までの画一的でつまらない店が減り、個性的な店が増えることは住民にとってはよいことだと思う。