中古住宅のリノベーションは時代の要求

ビジネスモデル

9月17日(火)の「ガイアの夜明け」、採り上げたのは中古住宅のリノベーション。題して「”中古”で実現!自分好みのマイホーム」。

景気回復と消費増税前の駆け込み需要。2つの要因から好調が続くマンション販売。”中古”マンションも同様で、首都圏の成約件数は12カ月連続で前年を上回っているそうだ。いま、中古に興味を持つ人々は30代を中心とした若い世代である。新築には興味はあるが、「価格が高い」「住みたい場所によい物件がない」「欲しい間取りがない」。それならば、はるかに安い中古物件を買い、自分好みに変えてしまおうという動きが増えている。それがリノベーションである。

新築時の状態に回復させる”リフォーム”ではなく、間取りをはじめ、住まいの雰囲気まで一変させることを”リノベーション”という。中古マンションを専門に扱うベンチャー企業「リノべる」のウリは、個人が行うと手間がかかるリノベーションを、ワンストップサービスで提供する事。一件の客につき一人のスタッフが最後まで担当する事。手頃な中古物件の情報の提供から、客が希望する間取り、好みのインテリアの実現までを、平均約8百万円(70平米)で請け負う。

番組では30代の夫婦からの依頼案件を取材した。物件は東京・世田谷区にある築40年のマンション。リノベーションの予算は750万円。夫婦からは、「砂漠のような質感の壁」、「なめらかな曲線を使った間取り」など、こだわりの注文が出る。最初の提案は大幅な予算オーバーであえなく撃沈。こだわりの部分は守りつつ、新築用浴室の採用など、コストダウンできる部分の提案などを行い、何とか当初予算に近い範囲で出来るメドが付いた。工事開始から2か月、部屋は要望通りの出来に仕上がっていた。出産間近い夫婦は「自分好みで身の丈に合った家が作れた」と満足の様子だった。

もう1件は、中古一戸建てのリノベーションの話。中古マンションを一棟ごとリノベーションする事業で急成長してきた企業、「リビタ」は、今年から新事業として中古一戸建てのリノベーションに取り組む。日本では一般的に木造の戸建て住宅は20年もすると、建物価値はほぼゼロになり、そのほとんどが取り壊されてきた。この中古一戸建てをリノベーションして再び売るところに大きな商機を見い出したのだ。リノベーションなら、柱やコンクリートの基礎など、いいものは残して建てられ、価格も建物を壊して新築するより安くなるというメリットがある。

番組では東京・世田谷区で始まった築27年の物件の工事を追う。柱や梁が見える(スケルトン)状態まで解体したところ、特に水廻りなど予想以上に痛んでいる事が分かった。しかし、ヒノキの柱など、よい資材を使っていた上、雰囲気のある出窓や階段など、残せる部分も数多く見つかった。ベテラン大工が一つひとつの柱の歪みを直し、現在の耐震基準に合うよう補強した。工事から3か月、古くて新しい家が出来上がった。建物だけで比べると、更地にして新築を建てるより約4割も安くできたという。内覧会はごった返していた。この事業、急速に伸びそうだ。

リフォームが高齢世帯に人気だそうだが、リノベーションのほうが費用対効果が高い。環境にもよい。この分野に限ってはReduce、Reuse、Recycleのキーワードに加えてもいいくらいである。