世界一のサービスマンの極意に触れる

BPM

4月1日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK総合)の主役は宮崎辰氏。東京・恵比寿の三ツ星フレンチレストランで、サービス部門の責任者のひとり「メートル・ドテル」を務める。本場フランスではシェフと肩を並べる高度な技能を求められる専門職であり、世界大会では日本人初の世界一となった。

レストランのいわば「司令塔」として、極上の時間を演出していく。幸せなひとときを過ごそうという客が、大きな期待をかけてやってくる。最高級の料理や飲み物、雰囲気を提供することで、100%の満足は実現できて当然。あらゆる手だてを駆使して極上の空間を演出し、想像以上の感動を与えてお客の満足を追求していく。

気配りの具合が凄い。お客のちょっとした表情や仕草(しぐさ)から、お客がこれから何を求めようとしているのかを先回りして見極め、接客のベストのタイミングを判断している。

たとえば、お客がメニューを読む目線の位置に注目して、注文を取りにいくタイミングを読む。お客の食べるペースや会話の盛り上がり具合などを考慮して、次の料理を作り出すベストのタイミングをシェフに伝える。当然、それぞれの料理を作るのに掛かる時間も頭の中に入っているということだ。しかも、こうした気遣いを同時に、何組ものお客を相手にやってのける。

そんな彼でも毎回パーフェクトとはいかないようだ。時には客の不満を買うこともあるという。営業終了後の深夜に事務所で一人で反省を繰り返す姿にこそ、努力家の姿を観る。

彼の目指すは、一方通行ではなくお客と互いに「心を開き合う」こと。自然な笑顔と会話でお客の話題を引き出し、どんな人なのかを理解しながら、自分のことも少しずつ話し、自分のことも少しずつ理解してもらう。そのような関係を育んだお客との間には、彼が理想とするリラックスしたサービスが実現するという。サービスの極意である。本当の接客のプロであり、我々のような専門職にとっても非常に参考になった。