世界を救う!“反骨”の科学者による『カイコのワクチン』開発

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TBS「夢の扉+」2月17日の放送は「新型インフルウイルスに挑む!」と題して、ウイルスそして不合理と闘い続ける “反骨の科学者”のワクチン開発最前線に迫るものだった。

今、人類が直面する脅威が「高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)」。その新型ウイルスは強い毒性を持ち、もしパンデミック(大流行)が起きれば、 日本だけで最大約60万人が死亡すると言われる。 このウイルス用ワクチン生産の技術を確立しようとしているのが、名護市の生物資源研究所所長、根路銘(ねろめ)国昭さん、73歳。第一線を走り続けてきた、日本のウイルス研究の権威だ。

彼が目をつけたのは、「カイコ」。従来の鶏卵を使う方法では、有精卵1個につき作ることができるワクチンは数人分。しかも新型ウイルスのように毒性が強いと取り扱いが難しいため、開発に膨大な時間を要する。だが、カイコは1匹で最大数百人分ものワクチンを作ることができ、従来の3分の1の時間で生産できるという。

さらに根路銘氏は、毒性の強いウイルスそのものを使うのではなく、遺伝子組み換え技術により安全性を高めたウイルスを使ってワクチンを作ることに挑戦。低コストで量産できる方法を編み出そうと心血を注ぐ。

『途上国の人々にも、安全で有効性の高いワクチンを、科学者として提供したい』という彼は、「カイコワクチン」実用化に向けて、「鳥インフルエンザの本場」インドネシアを訪れる。ウイルスを封じ込めるため、まず鳥用のカイコワクチンを開発。鳥での効果が認められれば、世界のワクチン開発を前進させる大きな一歩になる。

番組中で最も感動的なのは、根路銘氏が世界的遺伝子学会の権威達を説得する箇所。政治的な思惑から効果の劣る米国産のワクチンを標準にしようとする彼らに対し「君たちは政治家か、それとも科学者か」と迫り、10対1の決議をひっくり返してしまう。まさに信念の人である。こういう人、好きだなぁ。