ワクチン配布・接種の準備は進んでいるのか

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感染拡大が収まった夏から秋にかけての時期に手筈を整えておくべきだった「第三波が襲来した場合の医療体制強化」といった、少し先のことを考えることすらできない政府の「後手、後手」振りに、国民のいら立ちも相当募っています。このままでは10月の総選挙で与党が大幅に議席を減らし、再びの首相交代というシナリオが現実味を帯びてきます。

では今、最優先の一つとして、ワクチン配布・接種の条件整備、体制づくりはどれほど進んでいるのでしょう。

海外では既に接種が始まっていますが、国内では独自に臨床試験や承認の手続きを必要とします。これまた緊急事態下の最優先事項なため、過去にないスピードで手続きが進むと予想されます。ファイザーが断トツのようで、順調ならば2月じゅうにも承認される見通しです(それ以外は見通し不明)。

ワクチンの全国への流通体制に関してボトルネックになる可能性があるのが、保管や輸送の際の低温管理です。ファイザーのワクチンはマイナス75度前後という超低温で、モデルナのワクチンもマイナス20度前後での保管が必要です。そのため国は、マイナス75度のディープフリーザーを3000台、マイナス20度のディープフリーザーを7500台確保し、人口に応じて自治体に割り当てる方針です。意外に着々と準備は進んでいるようです。

当面は供給量が限られることから、政府は(1)医療従事者、(2)高齢者、(3)基礎疾患のある人、高齢者施設などの従事者――の順に接種を進める方針です。厚労省が自治体に示したスケジュールによると、(1)は2月下旬、(2)は4月初旬に接種体制確立。(3)は4月以降の見込みですが未定です。NHKが特設サイトでコロナワクチンの最新情報を掲載しており、参考になります。

一般の人への接種開始はさらにそのあとで、早くて4月から5月以降と言われていますが、多分ファイザーの供給が間に合わず(各国で取り合い中)、大半の人が年の後半になると私は見ています(そのタイミングで、武田薬品が国内で開発・生産するモデルナの供給なども追加されそうです)。どうもオリンピック開催までに人々にワクチン接種が行きわたるのは難しそうです。

問題の一つは、あまりに例外的スピードで承認されると、今度はワクチンの安全性に疑念を抱き接種したがらない人の割合が増えることです。そうすると日本社会が「集団免疫」状態に短期で達するのが難しくなり、今のように流行・抑制の波が繰り返される事態が続くことになります。かといって副反応がゼロでない限り、人々にワクチン接種を強制することもできません。

悩ましい話ですね。