リクシルの経営体制の行方が気になる

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6月25日の株主総会に向けて住宅設備大手のLIXILグループ(以下リクシル)が77期の決算報告と共に総会の招集通知を送ってきました(実は小生も株主の一人なので、通知を受け取っています)。この総会が世間の注目を大いに浴びているのですが、それは会社の経営主導権を巡る権力闘争が起きているからです。

その中に議案が3つあり、1号は会社提案での取締役8人、2号は会社と株主提案共通の取締役2人、3号は株主提案での取締役6人、それぞれの選任を求める内容です。要は次の経営陣と取締役陣容を決めるにあたって、会社が押す顔ぶれと株主が押す顔ぶれが対立している構図です。

https://www.sankeibiz.jp/business/news/190529/bsc1905290500012-n1.htm

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-30/PS984P6JTSEA01

その前段が分からないと何のことやらという感じでしょうが、要は会社を長年牛耳ってきた潮田・前CEO(3%程度しか株式を保有していないのに実質オーナー的な権力者です)が瀬戸・前々CEOを放逐したやり口を機関投資家がよしとしない態度を示したことで、潮田氏がCEOと会長を電撃退任したのです(世の非難を逃れる便法だったと言われています)。

https://president.jp/articles/-/28596

その後の経営体制について、1)会社側は現取締役全員の入れ替え&大半の社外取締役化(事業会社社長の大坪氏を除く)を訴え、2)株主(瀬戸氏ら)側は瀬戸氏のCEO復帰と川本氏の副社長復帰を主張している模様です。

会社側は招集通知の中で、瀬戸氏がCEO在任時(2018年上期)の業績悪化を瀬戸氏のせいと非難しています。しかし、これは潮田氏が強引に進めた伊子会社(ペルマスティリーザ社)が足を引っ張ったことが主要因であり、むしろ瀬戸氏がその子会社の売却を主張した(実は2019年期に思い切り評価損を出して実質損切り済み)ことで仲違いが表面化したくらいですから、瀬戸氏を非難するのはまったく筋違いでしょう。

また株主への追加案内書(こんなもの送ること自体が異例です)の中で、会社側の提案のポイントを4点挙げており、上記の点以外には、1)混乱収束のために現任取締役を一掃、2)創業家影響力の排除、3)経営執行体制は万全ということを主張しています。瀬戸氏らの現経営陣の方針への非難が耳に痛かったのでしょうね。

でも1)は取締役の地位に形上残っていた瀬戸氏と、彼を応援した伊奈啓一郎氏と川本氏を排除するためとしか見えませんし、3)は瀬戸氏らに「取締役全員退任なんて経営の継続性を無視している」と非難されたことに口答えしているだけのようです。瀬戸氏らの「今の体制のままでは創業家の影響力下にあるままが続く」という非難を否定した2)に至っては(3と併せて考えると)とても矛盾していて信じ難い、しかも何の根拠もない主張に聞こえます。

どうも会社側の主張と瀬戸氏に対する非難はいかにもご都合主義で、潮田氏の主張を繰り返しているに過ぎないと思えます。どうやら瀬戸氏らのいう「今の経営陣は潮田氏の影響力の下にある」という主張は当たっているとしか思えません。

この上場会社が社会の公器たる自覚をもって変わることができるのを望みますが、その結果が分かるのは6月25日の株主総会の結果次第のようです。