メガソーラー事業への取り組み姿勢を知る

ビジネスモデル

6月30日(日)に放送された「熱線ビジネス!太陽光 メガソーラーを足元から徹底解剖」という番組をたまたま録画しておいた。“太陽光発電”システムに関し、「家電量販店、機器メーカー、売電事業、メガソーラー施工の舞台裏、被災自治体での取り組み…等々。これまでとは違った視点で、その最前線を追った!」という触れ込みに惹かれたのだが、施工の舞台裏はなるほど興味深いものだった。

小売のエディオン、メーカーのシャープでの取材内容は従来のものと大して違わず、期待外れ気味。示されていた価格についても「どのメーカーでも同じくらい」といっていたが、家庭用で標準的な4kWで機器と施工を含めて180万円と標準価格を示していたので、随分高い。補助金(国からの8万円~東京都港区などの手厚いところで68万円)を勘定に入れても10年かけて元が取れるかどうか怪しいという水準である。また、消費者の電気価格に撥ね返る度合いが大きいため固定買い取り制度に「疑問視する声も出ている」というコメントもあった。

この2~3年で住宅用がかなり伸びたのは事実だが、2012年度に急伸したのは非住宅用と発電事業用。後者はいわゆるメガソーラー事業である。2011年度がほぼゼロに近い国内出荷実績だったのが、一挙にそれぞれ全体の1/3、1/4程度の規模にまでなっている。
http://太陽光発電・ソーラーパネル比較.com/blog/?p=604

メガソーラーとして最初に紹介されたのは中部国際空港。旅客ターミナルビルのセンターピア屋上に、太陽光発電パネルを1,440枚(計約1,900m2、出力約240kW)設置した。発電した電気は、駐機中の航空機に電力を供給する固定式GPU(地上動力装置)の一部で使用している。さらに来場者用駐車場の壁面で太陽光発電システムの実証実験を3月より開始した。傾斜設置型太陽光発電システム(出力23.7kW)をP1駐車場A棟東側壁面に設置。設置枚数は132枚、設置面積は約200平方メートル。太陽光パネルは化合物系、多結晶系、薄膜系の3種類、設置角度は45度、65度、90度の3パターンを採用し、太陽光パネルの仕様や設置角度の違いなどによる発電効率を検証している。さすがトヨタの御膝元。合理的実証態度だ。
http://www.kankyo-business.jp/news/004417.php

番組ではその後、メガソーラー事業者や施工業者の話が幾つか紹介される。1点は電力会社が承認するかどうかがポイントだということ。近くに電力会社の送電線がなければメガソーラー事業者自ら送電線を引かなければいけない。もう1点は耐久性。「しっかりとした施工や管理がされないと、20年単位のビジネスなので、問題が起きかねませんよ」ということ。風で飛ばされたりしないように、地震などで崩れないように。またパネルの角度も「日本では30度」とよく言われるが、パネルに影ができたり敷地に対してパネル面積を広く取れなかったり、色々検討する必要がある。

架台製造者の奥地建産(株)での話が意外と面白かった。架台の素材の耐久性試験としては色々なものを実際に屋外にさらして実証比較している。わざと傷つけたり、ボルトで施工した状態でみたりしている。また場所も三重だけでなく東京や沖縄などでも実施しているという。また、同社では架台だけではなく総合的なサービスもやっているので11社のパネルを自社で導入して、気象条件に応じて発電状況がどう変わるのか、細かいデータを取得している。こうした実証的な態度は素晴らしい。こうやって真面目に知見を貯めているベンダーと契約したいものだ。