プロジェクト失注にあたり考えたこと

BPM

5月の間じゅう追い掛けていた営業業務改革案件で大手競合に敗退してしまった。最後まで競ったのだが、残念至極だ。

しかし敗退の理由を聞いて、愕然とした。当方が最初から申し上げていた「担当者レベルの業務を変えることは当然だが、本当の変革ターゲットは現場マネジメントですよ」という主張が、結局は十分に伝わっていなかったことが根本的な敗因であると認識している。

その上で、クライアント側から第一の理由に挙げられたのが、当方のメンバーに「社友という外部の人間がいること」で、小生のコントロールが難しくなるのではないかとの懸念だった。これは当方が小規模な会社であることへの懸念でもあることは分かった上で、そこに致命的な誤解があるのが悔しい。

今回はちょっと特殊な「現場張り付き」プロジェクトで、現場での振舞い方がかなり難しいのに各現場には単独で入ることになっているため、自分で臨機に動ける判断能力と相当な経験がなければ務まらない。実際、当方は関係会社のコンサルティングメンバーを使うこともできたが、それでは不安だったため、敢えて旧知の社外メンバーを含めベテラン揃いにしたのだ。プロジェクト提案書の中には、社外メンバーを「社友」と明記しておいた。

一方、選ばれたコンサルティング会社は大手、だから構成メンバーは全員社員だとのこと。しかしそれは、このクライアント企業がそう信じているだけかも知れない。業界外の人はあまり知らないだろうが、元々大手コンサルティング会社は下請けを結構使うのである。実際のところこの時期、コンサルティング業界は結構忙しいので、大手はどこもマネジャークラスのメンバーがひっ迫している。そうした事情から考えると、選ばれたコンサルティング会社のメンバーにも下請けメンバーが結構混じっていると考えるほうが理に適っている。

しかも大部分のヒアリングや分析をこなす社員メンバーはかなり若いはずで(それが大手コンサル会社のビジネスモデルである)、当方のメンバーのようにベテラン揃いとはいかないはずである。メンバー構成も、社員はたまたま空いている人間であり、下請けも「人集め業」の人がたまたま捉まえてきた中から選ぶしかないので、信頼できる人ばかりを揃えることはできない。つまりメンバーの質もチーム安定度も、当方は引けを取らないどころかむしろ上回るはずなのである。

こうした事情をあらかじめ説明しておくべきだったと今では思うが、何度も「当方の提案に懸念はないですか?」と尋ねたが、その度に「ない」と断言されたので、安心していたのだ。しかし最後の最後にその点が懸念点として浮上したのだとしたら…。この点に思いが至らなかったことが今回の敗因であり、一番大きな反省点である。