プロは最後まで諦めず全力を尽くす

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最近、地方の活性化を手伝うクライアントを手伝うことが度々ある(ややこしい)。それで地方の「目利き」の人に関心を持つようにしている。その実例を目にした。

11月21日に放送されたNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の「諦めるな、それが魚屋の心意気」という回だ。フィーチャーされていたのは鮮魚店店主・門川安秀氏だ。
http://www.nhk.or.jp/professional/search/index.html

地元・宮崎の“目井津漁港”“南郷漁協地方卸売市場”をベースに九州各地を巡っていい魚を仕入れ、捌き、料理店に届ける。取引先の料理店の星の合計数はなんと9個だという(一つ星でもすごいのに、彼の取引先には二つ星や三つ星の店すらある)。

門川氏は、セリが始まるまで、市場に並んだ魚を一匹一匹丁寧に目利きしていく。彼の目利きのようすを観たが、すごいものだとしか言いようがない。目利きのポイントは、魚の目の膨らみ、エラの色、指で押したときの身の戻り具合らしい。長年の経験から総合的に判断し、魚の善し悪しを見極める。

そして目をつけた魚には、相場より高い値をつけてでも、必ず競り落とす。目先のもうけにばかりとらわれては、漁師も市場もやせ細り、いずれ自分に返ってくると考えているからだ。

「漁師のことを考えるよ。『間違いない魚いつも取ってくるから、この漁師のやったら1割2割高く買ってもいい』と。それをすることによって『目井津漁港に魚を持っていくと高く売れるよ。よその港に揚げないで、目井津に持って行こうや』って漁師同士で話題になる。そうなるとここにいろんな魚が集まるわけやから」というのが門川氏の弁だ。スーパーなどのバイヤーにも聞かせたい。

この人は研究熱心だ。市場で見慣れない魚を見つけると、すぐに買いつけ、自分の店に持ちこみすぐに図鑑で調べる。それでも分からなければ、親しい大学教授に聞きに行く。魚の生息域や習性などの知識が増えれば、目利きの精度が上がるという。その習得した知識を料理人たちにも伝える。

そうした彼の目利き能力とさばきのていねいさを信頼して有数の料理人が彼を頼ってくる。そしてそれに見事に応える。大事な〇〇周年パーティのために指定された魚を20尾確保するために台風直後の漁港と知人への連絡で奔走する姿が映されていた。頼られたら何としても結果を出す。プロとしての矜持を観、共感した。