ハウステンボスはアイディア社長の面目躍如

ビジネスモデル

このところ事業戦略策定という本来の仕事ばかりなので、事業再生関係のお手伝いはしばらくご無沙汰気味だ。実際のところ景気も悪くないので、事業再生話はシャープや東芝など一部の企業に限られているのではないか。とはいえ、少し前に実施された事業再生の結果が現れ出してもいるというのが現実だ。

4月27日(水曜日)に放送されたNHKの「探検バクモン」は国内最大のテーマパーク・ハウステンボスを探検先として選んだ。実はここ、実質的に複数回倒産して、最近再生された企業だ。

オランダを完全再現した園内は見事。だが莫大な初期投資もあって(つまり減価償却が膨大なのだ)、18年連続で赤字を続け、ついに経営破綻というのを繰り返したのだ。

最後のほうでは野村証券の事業再生が引き受けたが、結局赤字体質を変えることができなかった。しかしHIS会長である澤田秀雄氏が(スカイマーク社を西久保・前社長に売却し)、再生をあきらめた野村から安値で買収したのである。

今回改めてカリスマ社長・澤田氏が繰り出した赤字脱出の秘策がいくつも紹介されたので、関心を持って録画を見た。

チューリップ花壇を手入れしている人や施設をメンテナンスする人、園内で客を盛り上げるためにダンスしている人などは外注でなく自分たちでやっているとのこと。これで大きくコスト削減できたという。

また、チューリップに拘っていたのをやめて年中何らかの花が咲いているようにしたことで華やかさが維持できているともいう。しかしそんなの当たり前だというのが当方の感想。それまでの再生手法ってどんなに甘かったのか…。

そのあとは少し面白かった。夕方になると寂しかった冬季にイルミネーションで派手に電飾したら、夏より集客できるようになったらしい。他にも、リピーターを呼び込むために女子歌劇団を結成(宝塚のコピー!)したり、廃虚のようになっていた遊休施設を「お化け屋敷」として有効活用したり、澤田氏のアイディアが生かされていた。

人手不足と人件費抑制のためにロボットをホテルに積極的に導入していることも本欄で以前に採り上げたが、今回も取材されていた。受付や案内係とポーターだけでなく、部屋の中にも音声応答してスイッチON/OFFしたり情報案内したりしてくれる、可愛らしいロボットがいるようだ。しかも操作に失敗したら、正直に報告するところも愛嬌だ。

澤田氏いわく、将来的にはホテル従業員の(裏方=管理者を除く)大半がロボットに代替されるという。少し微妙な感じはするが、可能性は十分ありそうだ。この人の先を見る目はかなり正しいはずだから。