ドローンを安全に使うだけの知恵が人間に備わっているのか

ビジネスモデル

12/17(水)のWBSで採り上げられていた、「ドローン(小型無人飛行機)は安全か?」という問題は簡単な話ではありませんし、冷静に議論し続けるべきものです。

和歌山・田辺市では、消防本部の隊員らがドローンを使って70m離れた場所に救命胴着を運ぶというトレーニングが始まりました。本番では遭難者の命を救う、重要な作業になります。ドローンの拡声器から遭難者に指示したり、災害現場の状況をリアルタイムで撮影したり、などが期待されています。2011年夏、台風12号で9人死亡した同市では、それ以来、いかに早く現場の状況を把握するかという課題に取り組んできたのです。

しかし今、ドローンの普及が進むにつれて新たな問題が浮上しています。実は墜落事故が増えているのです。今年4月には名古屋市のテレビ塔周辺で飛んでいたドローンが操縦不能になり、繁華街である錦の駐車場に墜落しました。このケースでは無許可で150メートルを超えて飛行していたため、ドローンの操縦者は航空法違反容疑で書類送検されましたが、実は通常のドローンの飛行に関しては日本国内では法律の規制がないのが実情です。11月には湘南国際マラソンにて映像撮影用のドローンが墜落、女性スタッフが顔面を負傷しているそうです。

日本でのドローンの活用を進める団体などが役所と連携して規制を確立すべく取り組んでいるようですが、なかなか進まない模様です。セコムは自主ルールを作り、小型飛行監視ロボットのビジネスを来春にも開始しようと取り組んでいます。先端技術にあった公共の制度作りができるかが、日本の技術開発と安全な運用のカギになりそうです。

制御・通信技術は進歩しつつありますが、簡単にいうと2通りの方式だけです。視認しながら直接の無線制御を行うラジコン方式ならば用途と飛行場所は限られますが、ラジコン模型飛行機と同じで、規制は緩やかで構いません。中継器を経由して無線を飛ばし、直接視認ができない場所にまで飛ばす(しかしドローンに備え付けたカメラとGPS機能などで飛行し続けることはできる)方式ならば場所と用途は飛躍的に拡がりますが、事故は避けられないのではないかと思います。

この場合、人間による制御ではなく、上下左右360度をカメラで自動的に把握しクラウドに保有された共有AIシステムによって判断・制御する方式にしないといけません。これでも事故ゼロは保障できませんが、普通の人間の感覚と判断に頼るのに比べれば桁違いに安全になりますが、コストも一挙に跳ね上がるでしょう。

通信・制御方式が全く違うものを一緒くたにして「安全か?」と問うのはミスリーディングです。WBSのディレクターは分かっていないのか、分かっていてわざとやっているのか、いずれでしょうか。