シーメンスとフィリップスの変身から何を学ぶ

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最近、幾つかのビジネス絡みの記事で、欧州の大企業の(本来の意味での)リストラ事例を続けて目にしています。その最も凄いと思える例がシーメンスとフィリップスの2社です。

何と言っても図体が大きいので実行が大変なのが容易に想像できるのですが、そのような外野の心配をよそに着々と変身を進めてきたのです。

ドイツを代表する超大企業であるシーメンスはデジタルインダストリー事業(ドイツのいわゆる「インダストリー4.0」を体言したような「デジタル工場」事業)を中核として大きく変身しました。元々ハードウェアに強くソフトウェアに弱みを抱えていた同社は今やIoT技術をはじめとした「(ハードウェアも持っている)ICTの企業」に大きく生まれ変わっています。その前身を研究してきた小生からすれば脅威の変身です。

その過程で、収益性も高く優良な業績を上げていたヘルスケア事業も照明事業も分離・上場させていますので、日本企業の大半の経営者からすると理解を超えているかも知れません。でも彼らには5年毎に画き換える「未来予想図」があり(小生も日本企業と米国企業にそれぞれ、作成をお手伝いしたことがあります)、それに基づき大胆なリストラを行ってきたので迷いはなかったとのことです。

もう一つの大変身した超大企業がオランダを代表するフィリップスです。主力事業を次々と分離・売却し、今やヘルスケア事業に特化しています。

その分離対象といえば、祖業でありしかも世界トップで儲かっていた照明事業をはじめ、テレビ事業や音響事業など同社のイメージの中核をなしていたものばかりです。いずれ中国などのアジア企業に主導権を奪われると考えたそうです。でも松下電器(今のパナソニック)がそんなことを始めたら、きっと日本中が「狂ったか?」と大騒ぎするでしょうね。

でもこれが戦略的フォーカスなのです。そしてその結果、フィリップス社は市場で高く評価され、今や時価総額は(復活したとされる)パナソニックの1.7倍です。見事な「選択と集中」ではないですか。