ゴーン逮捕に思う

ブロググローバル

皆さんの「今年のニュース」の候補は何でしょうか。

私がすぐに思いつくのは何といっても「ゴーン氏の逮捕」です。直近の発生ということもありますが、本当にびっくりしたニュースでした。聞いた時は「フェイクニュース?」と思いました。

しかしその後に続いたゴーン氏の報酬や待遇をめぐる様々な情報にはかなり呆れました。「なんと強欲な」、そして「日産のようなグローバル超大企業でこんな我がまま放題がまかり通っていたなんて」と。同じように感じた人も多かったのではないでしょうか。

その後、マスコミは、ゴーン氏の強欲振りと、その剛腕によって人生を狂わされた人々の悲哀を対比しています。日本人の心情を汲みながら、「調子に乗り過ぎた、堕ちたヒーロー」を叩くことで視聴率を稼ぎたいのでしょう。ほとんど「事件を起こした芸能人」の扱いです。

しかしさらに最新情報が少しずつ明らかになる中で、私は疑問を感じ始めています。肝心の「有価証券報告書への虚偽記載」容疑についてはかなり根拠薄弱ではないかと。

弁護士でもあるケリー容疑者に金融庁にまで合法性を確認させた「後年になってコンサル契約を結んで支払いする、と覚え書きに残すだけ」というのは、倫理的にはとんでもないことですが、「確定していなかった」という言い訳が立つ、非常に巧妙なやり方です。

少なくとも本人には違法性の認識はなかったでしょう。まともな法廷で、優秀な弁護士がつけば、無罪を得られる可能性が十分です。

もしかすると地検特捜部はここまで慎重な処理方法を取っていたことを、逮捕前に掴んでいなかったのではないでしょうか。つまり日産からのリークに踊って「勇み足」したのかも知れません。

ロッキード事件やムネオハウス事件などでは修羅場に弱い日本人ビジネスマン達相手に様々な脅しで屈服させることができましたが、ゴーン氏はタフなので否認を続けるでしょう。

特捜部は今、過去にもやった強引な「国策捜査」的起訴により後で敗訴するリスクをとるか、不起訴処分でお茶を濁すか(この場合、国内世論は騒ぎますよ)、かなり難しい判断を迫られています。

事、ここまで至れば、いずれにせよ「日本の司法はおかしい」という国際問題を引き起こす可能性が高いですね。

「ボーっと生きてんじゃねーよ」とチコちゃんに叱られないよう、特捜部にはよい知恵を出していただきたいところです。