コロナ禍が問う政治家の不作為

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東京都知事選でどうやら小池現職知事が当選だそうです。本来このブログは政治的な発言をする場でもないし、ましてや選挙期間中は遠慮していましたが、投票が終わったので、簡単にコメントしても差し支えないと判断します。

現職が出馬しているのだから信任投票的性格になるのは当然で、今回はそれにコロナ対策の出来不出来を問われているはずです。本や週刊誌で叩かれている小池氏の学歴詐称問題は、確かに不誠実さの露呈ではありますが、政治家としての能力とは別問題です。

知事としての公約である「7つのゼロ」に関して、まともに達成といえるのはペット殺処分ゼロのみです。待機児童ゼロは就任時の8,000人以上から2020年4月時点では2,300人まで減りはしましたが、全然足らないのは明らかです。コロナ禍で「満員電車ゼロ」は一時的に達成できた恰好ですが、それは政策の成果ではないし、今や元に戻っているので、やはり達成度ゼロです。それ以外はほとんど進捗がありません。いくら言い訳しようとも、それが事実です。

でもそれ以上に問題なのは、小池氏がメディアに出ずっぱりだったため今回の勝利の要因となったはずの、コロナ対策での実際の不手際です。営業自粛対象業種に関し広めにとるべく国と対立した辺りまではまともな政治家らしいふるまいでしたが、途中から化けの皮が剥がれてきました。

とにかく財源の限りに何でもかんでも営業自粛させたかと思うと、経済状況が怪しいとなったとたんに自粛解除ペースを思いつきで早めるなど、とにかく首尾一貫性や論理性に欠けていました。そもそも東京アラートを出したのも、大阪府・吉村知事が実施した通天閣でのアラート表示と独自指標提示に対抗したいだけだったとしか思えません。

逆に今こそ再度東京アラートを出すべきタイミングなのに出さなかったのは、出すと他の候補者から「それ見ろ」と指摘されて選挙に差しさわりが出るからでしょう。あれほど「夜の街で感染が拡大しています」と警戒を呼び掛けるのであれば、接待を伴う飲食業に対し再度の営業自粛を要請し、休業補償を出すべきです。カラオケ店や夜10時以降の居酒屋に対しては、家族連れ以外は自粛を呼び掛け、やはりそれなりの補償を出すべきです。

第一波の際にあまりに派手にかつ広範に自粛を要請したので、あれほど豊富だったとの調整金も財源に余裕がなくなっており、そうした打ち手が難しくなっているとしたら、見境のないやり方を取った知事の判断の責任です。なぜ業種毎のメリハリをちゃんと考えなかったのか、今でも不思議です。

もし財源が不足しているがために打ち手が極端に限られるのなら、その旨をきちんと市民に説明し、「自分たちで正しく警戒してください」とお願いすべきです。「若いからといって重症化リスクがない訳じゃない」と、無防備な若者に「正しく怖がってもらう」ようすべきです。

東京都民は本当に彼女の(知名度やパフォーマンスの派手さではなく)能力・実績をきちんと評価したのでしょうか?

そして安倍総理や加藤厚労相ら、コロナ感染対策に責任がある中央政府の幹部にも同じことが言えます(西村経済再生相は曲がりなりにも前面に立って奮闘しているので除いていいでしょう)。ここまでのコロナ対策における失政の数々を、前面に立って奮闘してくれた専門会議に責任を押し付けて(しかもいきなり廃止して)、知らん顔をしている姿はかなり醜悪です。