イーグルバス社長が示す、地方創生の形

ビジネスモデル

6月25日(木)に放送されたカンブリア宮殿はイーグルバス社長の谷島賢さんをフィーチャーしての「赤字路線バス復活劇!愛される超地域密着戦略」でした。イーグルバスは前にも採り上げた、賢く誠実なバス会社ですね。

レトロ感で人気の街、川越の名物となっているのが、やはりレトロなボンネットバスです。実は観光客のためのバスではなく、住民の足である路線バスなのです。運転手が観光名所を案内してくれて、車内に笑い声が溢れる路線バス。そんなユニークな路線バス「ボンネットバス」を運行している会社が、イーグルバスです。社員193名、車両111台、売上高9億7000万円の中堅規模のバス会社です。

1980年、地元川越で小さな旅行会社を経営していた父親とともにイーグルバスを創業。まず許可制の送迎バスで事業を始めました。最初に取り組んだ送迎バスには、車椅子用のリフトが設置されていました。イーグルバスは、養護学校の送迎により10年の実績を積み、1990年に観光バス事業の免許を取得。その後、路線バス事業へと進出を果たしたのです。

ヒットしたのが、いまや川越の名物となっているボンネットバスの小江戸巡回バスでした。イーグルバスは、価格ではなく顧客満足で業績を伸ばしているのです。朝の朝礼では、日課の発声練習を行います。外国人観光客のために、運転手さんは英会話の自主トレを合間の時間に行っています。

谷島さんにはもうひとつの顔があります。それは観光協会の理事を務めて、川越に観光客を呼ぶ活動をしています。彼が音頭をとって始めた「川越きものの日」は、今年で5年目を迎え、川越の名物となっています。きものを着ているとお得なサービスがたくさん用意されているのです(小江戸巡回バスの1日乗車券も、通常500円のところ350円に値引きされます)。

様々な取り組みによりイーグルバスの小江戸巡回バスの利用者数は1.5倍に増加し、商店街を訪れる客も増えています。「地元と一緒に元気になる」「街が盛り上がってお客さんが来てくれば、バスに乗ってもらえる。最初に街づくりをするのが順番から考えてやはり正解だったと思う」と語る谷島社長の言葉が、地方創生に対する一つの答えだと思えます。

以下、備忘メモですが、イーグルバスが引き受けた近隣地区の赤字路線バス路線の復活劇のポイントです。

<埼玉県日高市>
改革1)データ収集による見える化(実態把握)
改革2)運行ルート変更
改革3)ダイヤ改正
→時間通りにやってくる便利なバスに生まれ変わった結果、月間利用者は3000人も増加しました。

<埼玉県ときがわ町>
改革1)中継ポイント設置で便数を増やす
改革2)デマンドバス
→便利になったお蔭で、バスの利用客は1.7倍に増加しました。

<埼玉県東秩父村>
改革1)和紙の里にバスの中継ポイントをつくる
改革2)和紙の里に郵便局やコンビニ、レストランなどをつくる
→観光客にも住民にも便利になる。雇用も創出。休日には乗り切れないほどのハイキング客が乗り込み、収支的にはトントンの様子です。