アルバイト現場でのトラブル急増は歪む社会を象徴する

BPM

1月9日(金)のNHK「特報首都圏」は「アルバイトに異変~トラブル急増の真相~」でした。何とも複雑な感じを抱きました。

いまアルバイトの現場でトラブルが多発しています。2つの全く異なるものです。

一つは、学生に残業代を払わない、約束より時給が安い、シフトが埋まらないため(代わりの人を見つけるまで)長時間働かせる・・・、いわゆる“ブラック・バイト”に関する相談がNPOに殺到しているという事態です。

アルバイトを辞められず単位を落とすなど悪循環に陥る学生も出ています。全国の学生約4700人を対象としたアンケートでも、「シフトを勝手に変えられた24.7%」、「残業代が時間どおり払われなかった14.1%」などの結果が出ていて、不当な扱いを経験している学生は全体の7割弱に及んでいました。

第一印象は「なぜすぐに辞めないのか」です。しかし彼らは学生で、不当な扱いに対しきちんと主張することも、「じゃあ辞めますよ」と突っ張ることもできないのです。

今はバイト側が売り手市場であることもよく理解していないのかも知れませんし、そもそも自分が辞めることで残るバイト仲間がもっと大変になることに申し訳なく思うというのです。なんと心優しい若者たちでしょう。でもその優しさにブラック企業はつけ込むのです。こうした連中をのさばらせておいてはいけません。徹底的に糾弾し、社会的に葬り去るべきです。

一方、職場で悪ふざけした画像や、内部情報をインターネットに投稿し、企業にダメージを与える“バイト・テロ”とよばれる問題も発生しています。こうした行為が引き金になり廃業に追い込まれる雇い主も・・・。

しかし冷静に考えると、そんな悪ふざけをできるというのは、正社員がおらずにバイトだけで後片付けをしているというおかしな実態が状態化しているということです。

そして番組では指摘されませんでしたが、大学生なのに小学生みたいな悪ふざけをしてお世話になっている会社に迷惑を掛けてしまうという社会的常識感覚がないのは、家庭でのしつけがなってないということです。少なくとも小生の娘ならこんな愚かなことで周囲に迷惑は掛けません。

学校から退学処分される、または企業から親が賠償請求される、といった結果は因果応報と言わざるを得ません。

“ブラック・バイト”を生む企業も、“バイト・テロ” を生む家庭も、ともに歪んだ社会がもたらす悪貨です。いかにそれらを極小していくことができるのか、日本社会の大きな課題です。