アジア発のリゾート・ブランドは日本の“おもてなし”を凌ぐか

グローバル

1月15日(水)に放送された「島耕作のアジア立志伝」は「 “アジア発ブランド”を生み出せ」と題し、リゾート・ブランドの「バンヤンツリー」を率いるホー・クォンピン氏(62)をフィーチャーしていました。

世界28か国に展開するアジア発のリゾート・ブランド、バンヤンツリー(本社シンガポール)。華僑のホー・クォンピン氏のブランド戦略は、客の度肝を抜く斬新な演出を誰よりも先に提供するインパクトと、その土地の文化に“おもてなし”の心を融合させる地域性重視だそうです。特に後者は星野リゾートのコンセプトと重なりますが、アジア・中東まで拡がるスケールの大きさは一歩も2歩も先を行きます。タイから始まったこともあり、タイ式をベースにしたマッサージやアジア風の静かで親密なホスピタリティは同リゾートの独自性にまで高められており、「アジア一のブランド、やがて世界一に」という自負心が感じられました。

放送された各地のリゾートホテルの様子は確かに魅力的。施設そのものがその土地の地域性を織り込んだコンセプトが表現されていて、しかも解放感やリラックスさに溢れています。余裕があれば泊ってみたいものです。ホー氏が今とりわけ力を入れているのが中国。秘境の魅力をそのまま活かす演出で、中国の富裕層の心を鷲づかみにしているようです。真に高級なサービスに飢えている彼らは日本の高級ホテルや旅館にもよく出没しますが、アジアのリゾート地にこうした素晴らしいリゾートホテルがどんどんできると迷ってしまうかも知れません。

こうした“アジア発”の“おもてなし”は特に日本独自のものではなく(とはいえ参考にはしているでしょうが)、同社が独自に編み出してきたものらしいです。うっかりすると、日本企業は“おもてなし”ができるのは自分達だけだという勘違いした自負心を持ちかねませんので、ここの認識は重要です。「バンヤンツリー」のサービスのベースにあるのは、正社員の待遇をよくし、常に向上心をもたらし教育を続けることの重要性を、経営トップが認識していることです。中身は独自のカリキュラムでしょうが、この大切さばかりはどのサービス企業にも共通なのだと、改めて認識しました。