“ご当地ブランド”は都心でも売れる

ビジネスモデル

過疎化が進む地方を盛り上げようという新たな動きがそこかしこで始まっている。地方ごとの産業や特産品を活用し、今の時代にあった商品を開発するというものだ。その地方独特というオリジナリティ溢れる商品を地元の新たな特産品にし、都心でも売っていくという挑戦は小生の知っている範囲でも動き出しており、楽しみだ。

そんな中、TV東京の「ガイアの夜明け」でも同様の動きを採り上げていた。11月10日に放送された「”ご当地ブランド”売り出します!」だ。2つの面白い動きがフィーチャーされていたが、その一つが地方の百貨店の挑戦だった。

都市部の百貨店に比べ、地方の百貨店は苦しんでいる。2014年4月の消費税引き上げの影響が続く上に、訪日外国人の恩恵にも預かれないからだ。全国に24店を展開する百貨店、そごう・西武は、苦しむ地方店を活性化させようと、今年3月に新たなプライベートブランドとして「エリアモード」を立ち上げた。

従来の全国一律ブランドと違い、「エリアモード」では各店が地場産業と組み、地域色を打ち出した雑貨や衣類を開発・販売するところに特長がある。しかも各地域の伝統技術や特産品を採り入れている。例えば、埼玉・所沢産の狭山茶で染めたブラウスや、大阪・高槻の伝統工芸、今城焼きのアクセサリーなどだ。

こうした地方独特の商品は予想以上の売れ行きを見せているそうだ。いまやネットの普及で全国どこでも同じ商品が手に入る時代だ。その中で「地域限定」の商品に却って価値がつき、また地域住民の「地元愛」も刺激したのだという。

その成功を受け、そごう・西武は各地域で開発した商品を東京に集め、大規模なフェアを開催することに決めたのだ。地方発の商品で都心を攻めるという、これまでとは逆のパターンである。これはこれで面白い視点だ。地方を救うために開発した商品が都会の消費者にも受け入れられるのか、を証明するための企画である。

そしてどうやら「その地方にしかない商品」は都会の店舗でも売れることが見えてきた。そごう・西武では中央→地方への発信&商品流通だけでなく、双方向の流れがこれから確立するかも知れない。注目すべき取り組みである。