「駆け込み寺」を運営する日本一の尼さん

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5月30日(土)に放送されたテレビ東京系「Crossroad」(小生、この番組も結構好きです)は尼僧、戸澤宗充(78歳)さんをフィーチャーしていました。もう感動モノの人生です。こんなに他人のために懸命になれる人生って、観ていて羨ましいほどでした。

全国各地の寺や講演会で説法をしてまわる活動の一方で、12年前に私財を投げ打って作った「駆け込み寺」を運営。彼女に助けを求め、夫からの暴力や家族の問題などで心身に傷を負った女性たちが駆け込んでくるのです。その人たちや震災で苦労した子供たちに文房具などをあげるための資金を(寄付以外に)集めるために、朝早くからおにぎりを作って街頭で売ったり、ランチのお店を運営したり、東奔西走とはこのことです。この人、本当に体が丈夫です。

もともとは2児の母親であり普通の主婦だった彼女が、出家して人々を救う活動を始めた理由は…。この道を選んだのは、彼女自身もまた暗闇に迷い込んだ経験があったからです。33歳の時、二男を出産した2日後に、最愛の夫が交通事故で突然他界。全く生きる気力をなくした彼女は何度も自殺を考えたそうです。でも周囲の人々に助けられながら懸命に2人の子どもを育ててきたのです。

そして46歳になった年、長男が成人したのを機に一念発起し、「今度は私が人助けをしたい」と出家したのです。なんと凄い行動力でしょうか。

そして説法で全国を飛び回る中、聞こえてきたのは、家庭内暴力や身内の死などに苦しむ女性たちの悲痛な叫びだったそうです。そんな女性たちを救いたいと、平成の駆け込み寺「サンガ天城」を作ったのです。半端な額ではないですが、ほとんど自己資金で賄い、家族や周囲の人達は猛反対だったそうです。

いつでも大勢の女性が駈け込んできても大丈夫なように、布団が30組も用意されているそうです。料理をするのはボランティアの人達と、駈け込んで厄介になっている女性たち。本来は一泊数千円の有料ですが、実際には大半の人が着の身着のままで逃れてくるので、持ち合わせがないのです。

それにしても食材や光熱費だけでもすごい金額になると思います。それをひねりだすのは寄付と戸澤さんの活動です。ボランティアの中には昔、戸澤さんにお世話になったことで恩返ししたいという方もいます。観ていて、ついもらい泣きしちゃいました。

駈け込んだ女性のなかには、いつのまにか姿を消す人もいれば、ずっとお世話になる方もいるそうです。それにしても意外と中高年の女性が大半なことには驚きました。多分、夫の暴力にずっと耐えてきたけれど、息子・娘が独立したのを機に逃げ出す決心がついたということなのでしょう。やりきれない話ですが、こうしたどうしようもない男性がまだ少なくないということなのですね。何とかならないものでしょうか。

それにしても戸澤さんの毎日は全て人のためで尽くされ、ご自身のためには一瞬たりとも使われていないといっていいでしょう。人のために尽くすことが生きがいになっているというのは何と素敵な生き方でしょうか。並の人間にはできないことを軽々とやってのけるからこそ、この方は輝いて見えるのですね。