「臭い」の解決アプローチに専門家の意地とセンスを観た

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「消臭」や「臭い対策」を巡る2つの別番組をたまたま続けて観て、そのアプローチの違いを楽しんだ。

一つは3月23日(土)に「アジアの風 ~小さな挑戦者たち」(BSジャパン)で紹介された、株式会社ライフリングの消臭製品「ブリーズブロンズ」。靴下やタオル、さらにベッドシーツや肌着まで幅広く展開しているこのシリーズ、汗の臭いや体臭といったアンモニア臭を短時間で分解、減少率99%以上を誇る圧倒的な消臭機能を備える。

その驚異の能力の秘密は、消臭効果を持つ特殊な繊維を織り込んでいるのだが、「カルボキシル基」という有機化合物を練り込んだその原糸はむやみに弱く、ほとんど「しつけ糸」程度。しかしそれを「何とかならないか」と、ライフリングの梶谷社長は今治のタオル職人、三光産業の尾崎今男会長(84歳)に頼み込む。尾崎氏は丸三年かけ、強度のある綿糸と消臭糸を混ぜ合わせ、とうとう消臭効果と強度を両立させる。まさにこれは技術屋の意地だ。

ライフリング社は2002年にシーツとタオルケットの販売を開始、介護業界から大きな反響があった。その後、靴下や帽子、赤ちゃん向けのオーガニックコットンを使ったシリーズなど、次々に新しい製品を展開中である。価格は少々高めだが、驚異の消臭効果が徐々に話題を呼んでいるようだ。番組では今後目指すベトナムと中国という2つの市場への攻略法がコンサルタントからアドバイスされていた(ちょっと思いつき的な話もあったが…)。

続いて観たのは、3月24日(日)に放送された、スパニチ!!「可能商店」 どんな悩みも解決する…職人&企業&科学者集団!!(TBS)というちょっと怪しい番組の録画。新戸部女子中学の剣道部が存続の危機に瀕しているという。新入部員が集まらない原因は防具の臭い。特に小手の臭いが洗っても落ちずに手に染み付くため、現代の乙女からは敬遠されてしまうのだ。気を使って電車の手すりも触れないほどだという。

「ニオイのマスター」大同大学・光田恵教授は面白いアプローチを示した。臭いを消す代わりに、バニラとペパーミントをつけた上新粉を手にまぶして小手を嵌めることで、何と不思議、チョコミントの甘い「匂い」に変わってしまう!さすが目のつけどころが違うと感心した。

番組の後半では、東レが宇宙服用に開発した消臭素材「ムッシュオン」を小手用に応用した生地を開発、表地と中地に提供。中綿には抗菌消臭力のあるコスメルという綿を提供。それらを使って防具職人が本当に「臭わない」小手を作ってしまった。ハイテクと伝統工芸のマッチングである。

「消臭」一つとっても、実に色々なアプローチがあるものだ。