「新しいリサイクル事業」の目の付け所

ビジネスモデル

最近気になるのが、それと見えないほどすぐれたリサイクル製品やリノベーション住宅。日本のような資源が少なく人口が減少する国では重要な国家サバイバル戦略だと思う。そんなことを普段思っているのだが、6月10日(金)に放送された「ガイアの夜明け」は示唆深かった。題して「捨てるの待った!~新たな”リサイクル”の幕開け~」。

最初は大阪市生野区の木工所「パレットハウスジャパン」。この町工場はユニークな材料を使っている。廃パレットを加工して家具を組み上げ、人気を呼んでいるのだ。「パレット」とは、工場や物流施設などで、フォークリフトで荷物を運ぶときに下に敷いて使う、木製のあれだ。輸入品とともに世界中から日本にやってきて、最後には産業廃棄物として処分されている。その「廃材」を無償で譲り受け、新たな商品を生み出しているのだ。

この社長・大町浩氏は、廃パレットならではの”使い込まれた”感じを逆手に取って「ビンテージ」風の商品に仕上げ、”味わい”にしているのだ。確かに出来上がった製品はなかなかいい感じで、ミスタードーナツの店舗で内装材に採用されたり、オフィスやカフェなどで人気を呼び始めたりしているようだ。 こんなリサイクル製品がもっと街に増えていい。

もう一つの動きは、施設がリニューアルされる度に、そこで “廃材”として処分されるものを、「昔の思い出を偲ぶ商品」に生まれ変わらせようという動きだ。この事業を手がけるのはチケット販売業「ぴあ」。これは新鮮な驚きだった。全国のイベント会場などと繋がりが深く、施設の解体・改修情報が常に入るうえ、できた商品をぴあのチケットシステムで販売できる、という強みを持つためだ。施設側も廃材を無料で引き取ってもらえるのでメリットがあるのだという。

最近でもホテルオークラ東京や国立競技場、横浜アリーナ等々、さまざまな人の思い出が詰まった施設が、相次いでリニューアルされている。人気家具メーカーとコラボして国立競技場の観客席を使った椅子を手がけたり、ホテルオークラ東京の壁の布地でつくったクッションなどを販売したりして人気を呼んでいるそうだ。

番組で紹介されたのは、武蔵野市で改装中の市民ホール。音楽やバレエなど、地域住民の思い出が詰まった施設だ。プロジェクトの責任者、「ぴあ」の米村修治さんは建物にまつわる「思い出」をテーマに、廃材を活用した商品づくりに乗り出した。バレエレッスン用のバーや楽器のパイプなどが、地元の家具職人やアクセサリー加工職人の手によって素敵な商品に再加工されて販売されていく光景は素敵だった。