「戦後リーダー」たちの心配と希望

グローバル

今年、2015年は戦後70年という節目の年です。敗戦時に10~15歳の少年少女だった人たちが80~85歳になり、確実に人生の終末に近づこうとしているタイミングでもあります。

日経ビジネスの「遺言 日本の未来へ」と題した特集記事と、類似のTV特番を年末に続けて目にしました。発言されている「戦後リーダー」は敗戦時に青少年だった方々で、まさに戦後日本を形作るのに貢献された世代です。後に続く世代に日本再建の志を引き継いで欲しいという願いと、でも思い切って新しい視座を作り上げて欲しいという激励が入り混じった思いが伝わってきました。

この世代は、直前の世代が出兵と学徒出陣でごっそり抜けてしまい、戦後の復興期において社会の中核の役割を否応なしに担うことになり、ある意味で恵まれた世代です。そして彼らは強烈な使命感とリーダーシップで日本の奇跡の復興を成し遂げ、世界で信頼される「ニッポン品質」という一種のブランドを作り上げた実績があります。その方たちからすれば後の世代は皆、頼りないものに映ったことでしょう。ましてや、豊かさしか知らない今のスマホ世代がこれから社会の主体になることには大きな不安があることでしょう。

その懸念が現実化するように、日本という国はバブル経済に踊った後、グローバル化の進む世界の中で長いデフレ不況に苦しみ、自信を失いかけてきました。

ところが最近では、新しい世代のセンスを花開かせた「クールジャパン」と呼ばれる日本独特のこだわり文化、もしくは「おもてなし」に代表されるきめ細やかなサービス文化が世界に広がろうとしています。社会的意義を強く意識し、世界市場を見据えた新しいタイプの起業家たちも育っています。若い力、新しい息吹は確実に生まれ、そこかしこに拡がっています。「戦後リーダー」たちの心配を杞憂に終わらせることは十分可能です。