「情けは人のためならず」はカタールにおける日本のこと?

グローバル

9月15日(土)に放送された未来世紀ジパング(TV東京系)「“世界一裕福な国”カタール~知られざる日本との絆」。中東の富裕国と日本との意外なつながりを教えられました。

国民一人あたりのGDPは10万ドルを超え(外国からの帰国人や移住者も含まれるので、真の国民だけでいうとその5倍ほどという)、今や世界一裕福な国、カタールのけた違いの豊かさをほとほと知らされました。一般用の国際空港以外に王族専用の空港があるとか、普通の公務員の家庭に、来客用(しかも)2つとは別に家族・親族用のだだっ広い応接間があるのが一般だとか、住民の所得税がないとか、全く異次元の世界です。

カタールにこれほどの急成長をもたらしたもの、それは“世界最大の天然ガス田”です。首都ドーハから80キロ離れたところにあるラスラファン工業地帯。そこには、世界最大のLNG(液化天然ガス)のプラントが集積しているのです。このプラントにより、日本をはじめ世界中にガスを輸出することを可能にしました。つまりカタールに莫大な富をもたらしたのはこのガス田であり、このプラントであり、そして最大顧客の一つが日本なのです。

カタールガスのCEOは「この国の繁栄と現在の地位は、すべて日本の協力会社のお陰です」と語ります。実は、日本は商業化の目途が立っていなかったプラントを成功させた立役者だったのです。この生産・輸出量ともに世界最大(第6系が建設中)のLNGプラントは、オールジャパンで取り組んだLNG開発プロジェクトだったのです。

千代田化工建設のプラント建設現場の様子とその歴史が番組では紹介され、様々な苦労を重ねたノウハウが詰まっていることが感じられました(セキュリティのため滅多に取材許可が下りない現場だそうです)。

しかしながら、カタール国民の不労かつ裕福度に比較して、外国人労働者と彼らを指導する千代田化工の従業員が厳しい現場で懸命に働き、狭く暑苦しい宿舎で寝泊まりしているのを見て、アンバランスさを感じたのは小生だけでしょうか。あまりにひどい格差です。放っておけば(日本人はともかく)外国人労働者はすぐに帰国しかねませんよ。

一方、カタールからも日本に知られざる貢献が続けられています。例えばカタールからの資金で造られたフレンドシップ基金により、東日本大震災で被害を受けた子供たちの教育を支援する施設が仙台に、震災直後の女川に魚の冷凍施設が設立されています。「勇気をいただいた」と喜ばれています。

原発で足りなくなった発電量を補うための火力発電の燃料の8割を追加供給してくれたのもカタール。とてもありがたいことです。なんと日本は発電用エネルギーの42.5%をLNGに頼っているのですね(なんと偏った割合でしょう。まるで欧州がロシアのガスに依存しているのと同じです)。この2割がカタール産だということです。

それにしても、日本に輸入されているLNGの価格は原油価格に連動する契約になっていたはずで、そのため現在、ニッポンはLNGの輸入価格が非常に割高なのです。これを世界の市場価格に合わせることにカタールが真っ先に応じてくれるのが、ニッポンにとって一番嬉しいことです。他のことはさておいて、是非、お願いします。