「反日暴動に負けない!~平和堂 45日間の全記録」を観て

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ガイアの夜明け【反日暴動に負けない!~独占取材!平和堂 45日間の全記録」を観た。
http://www.dailymotion.com/video/xupy23_yyyyyyy-yyyyyyyyy-yyyy-yyy-45yyyyyy-2012-10-30_shortfilms

何ともやるせない光景が何度も展開されていた。理不尽な反日デモにおける暴動の矛先は現地に根付いている日本企業にも向かった。その1社が滋賀県を本社とする地方スーパー、平和堂である。同社は中国進出した日本のサービス企業の中でも成功事例としてよく紹介されていたものだ。進出後約16年、特に内陸部まで入り込んで、それまでほとんど現地に無かった「サービス」「おもてなし」といった概念を形にして定着された先進事例として。

しかしながら「日本」を象徴するだけに今回の暴動、そして略奪の真っ先の対象になったのである。綺麗だった百貨店内が「ここまでやるか」というほど破壊、略奪されていた。その惨状の映像を観て息を飲み、平和堂の人達の心情を思い、心が痛んだ。番組の中で平和堂社長が「子供が病気になったようだ」とか「我が家が台風で破壊されたようだ」と言っていたが、本心は「自分の子供が暴行を受けた」ような気がしたのではないか。心底腹が立ち、それまでの日中協力のために尽くしてきた日々が否定されたようで情けない思いがしたろうに、感情を押し殺しているのが画面から伝わってきた。

それでも夏原社長は従業員の思いを汲んで、店の再開を、従業員全員と顔を合わせたその場で決めた。その場で店の閉鎖に不安を抱く従業員の顔を見て再開を決めた夏原社長は、番組に対し「止めるとは云えませんわ」とコメントしていた。

店の再開を決めたとはいえ、経営陣は大きなリスクを感じていたはずだ。1)テナントが戻るのか、2)客が再び来てくれるのか、3)再び暴動によるターゲットにならないのか、というリスクだ。テナントの多くは無保険で、まるまる今回の損害をかぶることになり、3)のリスクに対しての不安が大きいことが示唆された。それでも番組の中で、有力テナントが平和堂との今までの取引に感謝して再開することを約束してくれるなど、苦労が実っていく様子が伝えられていた。そして悪戦苦闘後の店の再開時には予想外に多くの客が再び来てくれ、復活へ向けて明るい希望が感じられた。

平和堂関係者の勇気と努力には称賛の思いが募るし、一旦再開を決めたからには是非復活してもらいたい。しかしながら3)のリスクに関しては今後とも払しょくできた訳ではない。以下、あえて厳しい話を述べる。

中国が独裁で人治国家であり格差が大幅に縮まらない限り、底辺層の不満は今後とも日本企業と日本製品に向かう。その矛先は再び同社にも襲いかかるかも知れない。今回の暴動は半分は官製であり(民衆の不満のはけ口とする手口である)、同社の店舗が襲われた際に現場にいた警察官達は暴動を押さえようとはしていないのが、映像でも確認できた。地方政府は再開にあたって同社に対し「今後は再発させない」と約束したそうだが、そうした約束が守られないのが中国という国である(多くの発展途上国に共通するのだが)。

中国での政治リスクは決してピークとは云えない。むしろ今後景気が悪化すれば、そのしわ寄せは底辺層に向かい、さらに暴動は激化する可能性が高い。中国に進出済みの中堅以下の企業では、撤退により屋台骨が傾かないところは、多くが真剣に撤退を検討しているというのもあながち誇張ではなかろう。