「不安の解消」「高齢者らしくない」に高齢者のニーズがある

ビジネスモデル

2月26日(水)に放送されたBS11の本格報道INsideOUTは「新ビジネス!高齢化にこんな商品」と題し、ゲストに高齢社会研究の第一人者・村田裕之氏(村田アソシエイツ代表)を迎えて、高齢化時代ならではの商品やビジネスを紹介してくれました。

人口の1/4が高齢者という時代に突入し、高齢化を前提とした街づくりや社会保障の問題が待ったなしの状態です。しかし、高齢化時代もマイナスの側面ばかりではありません。企業にとっては新たな商機も生まれ始めています。キーワードは3K(健康・経済・孤独)不安の解消だというのがこの番組のメッセージでした。

2年前のリカちゃん誕生45周年。ファミリーにおばあちゃんが登場、大ヒットとなりました。タカラトミーのリカちゃんフィールドチーム、大場麻未さんは語ります。「両親が共働きする人が増えてきて、祖父母と孫が遊ぶ機会が増えてきている時代の中で、おばあちゃんという人形を使って、おばあちゃんと孫が一緒に遊んでもらいたいという気持ちから登場しました。また発売当初、リカちゃんで遊んでいた子供たちが、今おばあちゃんになってきている時代、リカちゃんの3世代化で、自分たちが遊んだ人形で子供達や孫達にも遊んでもらいたいという気持ちを反映した形です。3世代で一緒に遊べるおもちゃというものは、長く続くブランドとして提案しています」と。

村田氏は述べました。「核家族なので、3世代で遊ぶということが新鮮で価値が上がっている。お金を持っているのはおばあちゃんだ。日本は子供向けよりも大人向けの方が、市場が大きくなっている」と。

次に映されたのは、まねきの湯・東京健康ランド(東京・船堀)での歌体操教室の映像です。インストラクターは「シニアの方の方が多い」と語りました。村田氏は「年齢に合わせた曲を選んで、その年齢層が踊れるような踊りにするのがポイント。孤独不安は生きがい不安と言っても良い」と述べました。確かにシニアの3大不安は、健康不安、経済不安、孤独不安です。

イオンが他社に先駆けてシニアマーケットに注目しています。ピアノ、ギター、ドラム楽器演奏はシニアにも人気の趣味です。CDコーナーには、70年代を彩った懐かしいフォークソングが充実。一方でペットの洋服も充実しています。子供が独立したシニアにとってペットは話し相手であり、大切な家族なのです。

イオン・グループのシニア戦略リーダー・谷島英明氏はイオン葛西店(東京・西葛西)の様子を見せて次のように語ります。「4階のフロアをグランドジェネレーションズモールという特別な位置づけにしている。コンセプトは、大人が私を楽しむ場所。シニアの時間消費、趣味とか娯楽の世界のいろんな要素をこのフロアに集積し、シニアの楽しみコトの場というコンセプトにした。頻度高く長時間滞在をコンセプトにして作っている」と。

村田氏は次のように結論づけています。「コト消費は時間消費で、物消費と対極だ。そこにいて時間をかけて何かを楽しむということが価値になる。結果として時間を楽しむためには物もいるということで、物消費につなげていくというのが狙い。いいものを美味しいものを楽しいものをちょっとずつというのがポイント。セブン&アイは、コンビニがシニア対応をしている。ネット通販はかなり力を入れている」と。

毎日新聞・金子論説委員は次のようにまとめます。「高齢者の世代は自覚がなく、わがままだ。たくさんはいらないが、いろいろなものを欲しい。ゆっくりして落ち着いているというのは、引き寄せる要素だ」と。

紹介された商品やサービスには新鮮な発見があるわけではありませんが、納得できる指摘ですね。