「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」は何を見せてくれたか

ビジネスモデル

NHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ 『第1回 岐路に立つ”日の丸家電”』」を観た。

ソニー、パナソニック、シャープという家電御三家が苦境に陥っている。アップル、そしてサムスンやLG電子など韓国メーカーにいいところなく敗れたこの10数年を振り返り、逆襲のシナリオが成り立つのかを考える、非常に興味ある題材である。

1回目では、ソニーの平井社長が進める改革に密着。縦割り組織を「ワンソニー」としてひとつにまとめ、商品開発の仕組みを変えようとする様子などを取材している。一方、シャープでは、台湾のEMS、ホンハイと提携することに活路を見いだそうとする様子を取材。両社の過去の経営陣の証言を交えながら、なぜ両社が苦しんでいるのか、どこに逆襲のシナリオがあるのか考えている。番組はこの中で日本の家電メーカーが我が世の春を謳歌していた1980年代までと、その後の20年を対比して、どういう経営判断ミスなり努力不足があったのかをあぶり出すべく、幾つかの切り口で分析をしていた。

小生の私見では(大きな観点でいうと)、ソニーの場合にはアップルと対比してソフトウェアとネットサービスへの対応スピードと徹底度において、シャープの場合はサムスンと比較して世界展開マーケティングのアプローチにおいて、どちらも競争相手を甘くみ過ぎていたことが致命的だったと思う。前者はインターネットという新しい技術インフラの勃興が、後者は市場のグローバル化という大きな経済トレンドが、それぞれライバルにとってのレバレッジになったのである(言いかえれば両社は十分にその機会を認識・活用できずに座視していたに等しいのである。

この番組の中で小生が苦々しい思いを感じたのは元ソニー会長の出井氏である(今はVC的な会社の経営者)。ソニーの当時のCEOとして凋落の責任をどう語るか注目していたが、全く期待外れであった。いわく、「インターネットがソニーのビジネスにとって、どんなインパクトを与えるについて当時予想したことはほとんど当たっていた」と少々自慢げである。その上で「ソニーほどの巨大企業の舵を切り替えるのは個人には無理だった」と言い訳をして、あげくは「当時何をすべきだったとか、何をできなかったかをあげつらっても仕方ない」と責任逃れの言い方をした上で具体的な証言を拒み、「今の人たちには是非色々と考えてもらい、その反省の上で次に向かってもらいたい」というような意味の言葉をのたまわっていた。非常に矛盾したもの言いである。彼のような立場にいた人が何を間違ったのか具体的に詳細に語らずして、後輩たちはどうやって教訓を学べるというのか。

そんなに正確に予想していたのに十分な手を打てなかったのは、自身がトップ経営者としてリーダーとして、力不足であったと何故言えないのか。IBMのガースナー氏、Appleのジョブ氏、日産にゴーン氏のように超巨大企業を再建した人は確実にいる。出井氏は自分にその力量がないことが分かった時点で、久多良木氏のような乱世向きの経営者にバトンタッチすべきだったのだろう。ビジョナリーとしては注目された人だっただけに誠に残念である。