「ビックロ」が示唆するもの

ビジネスモデル

本日、「ビックロ」=ビックカメラとユニクロの融合店が新宿で開店し、関係報道が賑わっている。前々日には近くまで行ったが、開店後は行く機会がない。報道ではユニクロファッションに身を包んだマネキンが家電を使っている図が幾つか映っていたが、実際の様子と客の反応は今一つ分からない。店を見てから改めて感想を述べたいと思う。

しかしこの家電量販店とファーストカジュアル店の融合という劇薬を試してみるところに両社の経営者の思い切り度合い、特にビックカメラの危機感が表れている。

家電量販店に関しては今年になってからも幾つかビッグニュースが発表されている。特にコジマがビックカメラ陣営の軍門に下ったこと、ベスト電器がビックカメラ陣営からヤマダ陣営に移ったことが有名だろう。これは規模を巡る国内陣地争いである。今後、買収された側の店のスクラップ&ビルドが続くだろう。特にコジマについてはここ1~2年の店の沈滞度合いはひどかった(欠品など)ので、ビックカメラの立て直し手腕が見ものである。

同時に、ベスト電器の資本提携に関してはそのアジアでの店舗網と経験という資産にヤマダ電機が目をつけて熱心に誘った可能性もかなりある。つまりヤマダ電機-ベスト電器のアジア展開は一層充実してくるかと思える。

そのヤマダ電機はさらに先を見ている。エス・バイ・エルという準大手の住宅メーカーを昨年買収し、スマートハウス事業を展開すると宣言した。住宅事業も太陽光発電事業も、家電メーカーから大量に買い付けた商品を大規模店で消費者に対し安値で販売するという同社のビジネスモデルとは全く異なる業界である。同社の凄いのは(あまり報道されていないが)、住宅設備機器の製造販売などを手掛けるハウステック(元々日立系)を今年になって買収したことである。住宅関連事業の拡大に本気であることは間違いない。

こうした家電量販店の上位2社の動きは、従来のビジネスモデルだけでは鈍化した成長を再び立ち上げるのは難しい、エコポイントによって荒らされた従来市場に頼っていては危機に陥るかも知れない、とみている証左であり、強烈な危機感が伝わる。小生もこの業界の目指すべきモデルについては意見もあるし、とても注目している。